『浴室のリフォーム』で、ゆったり。
癒やしのリラックス空間を創る。
浴室リフォームを行う場合、浴槽については素材、サイズ、色などいろいろ検討するのに対して、床材・壁材・天井材の素材については、深く考えずに色だけでパッと決めてしまいがちです。しかし、床・壁・天井の素材の選択を間違ってしまうと、浴室のイメージが大きく変わってしまいます。
そこで、ここでは、床材・壁材・天井材の選び方のポイントから、床材・壁材・天井材の主な種類の特徴などを紹介していきます。
浴室は、一人で浴槽にゆっくりと浸かりながら、仕事や子育てなどの一日の疲れをとったり、家族ではいってわいわい会話しながらスキンシップを高めたりする、大切な空間です。後悔のないよう浴室リフォームをして、その大切な空間をつくりあげていきましょう。
リフォームして快適なバスルームをつくるために、床材・壁材・天井材の選び方の主なポイントとして、大きく分けて「安全性やお手入れのしやすさの確認を」「予算に応じた選択を」の2つが挙げられます。
浴室は体を温めることが本来の目的であるため、まず保温性が大切だと思いますが、その次には安全性をしっかりと確保する必要があります。
家族構成によって安全性確保の基準は変わってきますが、小さい子どもがいる、または、将来子どもが増える場合には、滑りにくい材質の床材を選んだ方がよいです。妊婦さんや高齢者の方がいる、または、将来、年をとり体が不自由になる備えの場合には、広いスペースと手すりがあるとよいです。さらに、ヒートショックなどの防止のために、浴室でも温度を調整できる冷暖房設備を設置するのもよいです。
また、浴室は毎日使用するため、住まいの中でも他の部屋と比べると湿度や温度が高く、汚れやカビが発生しやすい場所になります。そのため、床材・壁材・天井材に対して、汚れやカビに強く、日頃のお手入れのしやすい素材を選ぶとよいです。見た目のデザインだけにとらわれず、安全性や機能性を考慮する必要があります。
あらかじめ浴室リフォームにあてることができる予算を決めておき、その予算からの検討も必要です。見た目のデザインや浴槽のみに凝り過ぎて、カビや汚れに強い素材の床材・壁材・天井材に残りの予算をあてることができず、浴室全体の機能性を落としてしまうことがあります。これでは、せっかくのリフォームなのに快適な浴室をつくることができず、本末転倒となってしまいます。
そのため、浴室の床材・壁材・天井材を選ぶ際には、浴槽の材質、安全性、機能性、価格、デザインなどとのバランスや融合性を考慮することが大切です。部分部分で個々のパーツごとに検討するのではなく、浴室全体のイメージをまず持ち、その後、安全性、機能性、価格など全体的なバランスを考えて素材を選ぶことが必要です。
なお、システムバスなら、その製法上、規格に沿ったものに床・壁・天井は限定されてしまうものの、メーカーごとに各パーツで機能性の高い素材を選ぶことができるため、予算やデザインへのこだわり等と合わせて合ったものをより簡単に選ぶことができます。
床材・壁材・天井材の素材には、いくつかの種類があり、どれを選んでいいのか悩んでしまいがちです。「樹脂系」「タイル」「ステンレス」「木製」「塗装壁」の5種類について、それぞれ、保温性、乾燥性、手入れなどの特徴をまとめていますので確認しておきましょう。
樹脂系はシステムバスで最も一般的な浴室素材になりますが、在来工法でも使用可能です。サイズやデザインはメーカーによって限定されますが、近年では色合いのバリエーションも多彩になってきています。5種の中で、保湿性は高く、乾きやすく、水はけの機能を高める加工がされたものもあります。滑り止めの加工がされており、汚れが付着しにくく掃除もしやすいです。また、コストも5種の中では中間的な価格になります。
タイルは、昔から浴室の素材としてよく用いられてきました。 サイズ、色、デザインのバリエーションが豊富で、腰板部分のみタイルを用いたり、床や壁の全体に使わず浴室コーディネートのアクセントとして部分的に使用したりするなど、デザイン性の高い空間演出が可能です。5種の中で、保湿性はモルタルなどを塗装した塗装壁に次いで低く、目地に水分が残りやすく乾きにくいです。目地の掃除には特に手間がかかりますが、近年では大判タイプのものが登場し、目地の手入れが比較的楽になり、人気があります。また、滑り止めの加工がされており、コストは樹脂系よりも高めです。
ステンレスは、カラーを選ぶことができず、冷たい肌触りと無機質な印象からぬくもり感が得られないため、苦手という方も多いです。しかし、サビや傷に強く耐久性が高いことから、お手入れが簡単です。
裏面に保温材を吹付けてあるため、5種の中で保湿性は高く、乾きやすいです。また、一見滑りやすそうに見えますが、滑り止めのため、表面に凹凸があるエンボス加工が施されたものもあるため安心で、コストも5種の中では中間的な価格になります。
ただし、カミソリやヘアピンなどの異種金属が表面に付着し、その金属自身がさび、あたかもステンレス自身が錆びた様にみえる「もらいサビ」という現象には、ステンレス自身のサビにまでつながる可能性もあるため注意が必要です。
木製は、システムバスに用いるのには難しい素材となりますが、在来工法で和風の浴室にしたい方に好まれる素材になります。木の香りや柔らかい肌触りによる自然素材特有のリラックス効果が魅力的ですが、材質によって耐久性や防カビ効果などに差異があるため、材質選びは難しいです。5種の中では、樹脂系に次いで保湿性がありますが、最も乾きにくい素材です。材質自体は滑りにくく、滑り止めの加工はされていませんが、気配りとこまめな手入れが必要です。また、自然素材のため材質によって価格差があり、手間もかかるため、コストは樹脂系よりも高めです。
塗装壁は、モルタル、コンクリート、しっくいなどを壁に塗装する方法で、一昔前までは浴室によく用いられてきました。表面に塗装を施す際に、色の選択は可能ですが、バリエーションもなく見た目の質感はほほ変わりません。コストは最も安いのですが、汚れが落としにくく手入れは面倒であることと、カビが発生しやすく汚れやすいことから、劣化しやすく、近年では、用いられたとしても、腰板から上のみに用いられることが多いようです。5種の中では、保湿性は最も低く、木製よりも乾きやすく、タイルよりも水分が残りやすいです。また、仕上げ方にもよりますが、滑り止め加工も可能です。