阪神・淡路大震災では全壊104,900棟、一部破損を含めると512,857棟もの家屋が被災しました。原因は様々ですが、その中でも特に重要なものとして、壁、接合部、基礎の三点は挙げられます。壁が極端に少ない箇所がつぶれたり、柱、梁、筋交いなどの構造材の接合部が外れたり、沈下によって、基礎が傾いたりしました。
そこで、これら「三つの弱点」を克服する為に、当時の建設省(現在の国土交通省)は、曖昧だった法規制を明確にしました。壁は構造的な釣り合いがとれているか否かを確認する方法を示し、構造材の接合部は、それぞれをしっかり繋ぐ専用金物などを示し、基礎は、地盤が支えられる荷重に応じた底盤の大きさや鉄筋の量を示しました。これらは、大地震の際にも倒壊を防げるようになっております。
壁の弱点と克服法
広い出入り口を確保した車庫や大きな開口部をとった居間が、地震の被害にあうことが多くあります。というのも、そういった箇所は壁が極端に少ない為に、構造的なバランスが悪くなってしまうからです。それらを改善するために、建物の平面を4等分して両端部分にある耐震壁の量を計算することで、かべの釣り合いを確認しバランスよく壁を配置する必要があります。接合部の弱点と克服法
太い柱や梁を使用していても、接合部が外れてしまうと、本来の耐震性能が発揮できなくなってしまいます。そして、大地震の際には必ずといっていいほど、構造材の接合部が外れて地震の被害にあうことが多くあります。こうした被害を防ぐ為に、構造材の接合部には、それぞれの引っ張り力に応じた、筋交いプレートやアンカーボルトなどの専用の金物を取り付け、指定された釘などを決められた本数でとめる必要があります。基礎の弱点と克服法
木造住宅の基礎は、大地震時だけに限らず、通常時にも沈下が生じるなどの被害が発生しています。その対策として、実測調査などで地盤の耐力を明らかにし、その値と建物の重量から基礎の形状を決める必要があります。そして、底盤や立ち上がりの大きさだけでなく、各部分に使用する鉄筋量や、地中に埋める深さまで定められています。