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受賞作品からひも解く マンションの断熱改修と高コスパの中古リノベ

2019/03/26

すっかり春の陽気ですね!

花粉もよく飛んでいます!

 

ところで マンションの断熱改修 って想像できますか?

 

「断熱改修をする」ということは、

暑い寒いが原因で不快ということです。

 

春秋は窓を開けていても過ごしやすいので、

不満はあまりないと思います。

ポイントは夏・冬です!

 

「断熱改修する家」はどんな家でしょうか?

 

日本エコハウス大賞2018 受賞作品

OKUTAは日本エコハウス大賞2018で奨励賞を受賞しました。

 

日本エコハウス大賞は、審査員に第一線で活躍されている

温熱環境や構造の権威の方々です。

 

OKUTAはマンション(共同住宅)で受賞しております。

 

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最上階の住戸です。

「夏が暑いので何とかしたい」というのが最大の課題でした。

 

最上階なので前述の通り、

屋上の日射熱がかなりあります。

 

しかも、こちらは外観上のデザインで、

屋根がカマボコ型の形状になっています。

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カマボコの断面(半円)には換気ガラリがついています。

理屈で言えば、夏はここで排熱する仕組みです。

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マンションは一般的に陸屋根(平らな屋上)ですが

今回違うのは、形と表面積です。

 

真円の半分とまではいきませんが、

曲線の方が面積が大きいので当然日射熱、

更に蓄熱量もその分増えます

 

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リビングのカマボコ屋根を例に取ると、

陸屋根の場合は概算で 5.0m × 4.0m = 20.00 m2 です。

 

カマボコ屋根は4.0mが、

2πr × 0.5 = 2 × 3.14 × 2 × 0.5 =6.28m

 

よって 5.0 × 6.28 = 31.40 m2 です。

 

あとは正確には壁ですが、カマボコの断面も入るので

 

2.5 × 2.5 × 3.14 = 19.63

19.63 × 2面なので、39.26 m2

 

したがって陸屋根の時は、20.00 m2

カマボコ屋根は、70.66 m2

 

外皮面積は陸屋根と比べてなんと 約3.5倍!

日射熱で暖められたコンクリートは

ピザ窯のようなイメージで熱が発生します。

(しかも2ヶ所あります)

 

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床・壁・天井・熱橋を

セルロースファイバーでしっかり断熱。

 

厚みの確保できない箇所は

部分的に発泡系の断熱材も使います。

充填断熱なので、コンクリートの不陸にも十分対応できます!

 

サッシは内窓でガラスはLow-E複層です。

既存がシングルガラスのスチールサッシなので、

U値は1.71W/㎡・K(仕様値)です。

 

冷房期の ηA値 も 1.6 に改善されました。

UA値は 0.38W/㎡・Kで、かなりの高断熱です。

 

再現性を高めるため、シミュレーションも行っています

 

 

給湯、換気はマンションによってしまうので

通常の給湯器と第三種換気です。

 

しかし器の性能が上がったので、快適性と

エネルギー消費に大きく貢献しました!

 

そのうち、設備にも手をつけられるように

コア抜きの許可がもらえるマンションが

増えてくれれば良いなと思っています。

 

 

「夏」 断熱改修が必要な家

【 最上階 】

最上階はとにかく日射熱の影響が大きい!

大きい原因の一つです。

 

夏の太陽角度は80°近くまで上がります。

屋上のような平らな面は、かなりの日射熱をもちます。

 

しかも構造がコンクリートなので、蓄熱性があります

国内のほとんどのマンションがRC造と思われます。

 

熱容量が大きいので、一度蓄熱すると中々冷めません。

(これを利用した手法もあります ※passiv design 大宮堀の内)

 

日射熱の温度上昇は陽が沈む夕方がピークで、

翌日の日の出まで緩やかに放熱します。

 

しかし、真夏日や猛暑日が続くと、コンクリートは

日の出までに放熱しきれず、また熱を溜め始めます

※木造の外壁も同様の実測結果が出ております。

(通気層有りも同じ)

 

曇りや雨が降るまで温度が上がり続けて、

家の中はますます暑くなります

 

なので新築、築浅のマンションは外断熱仕様の物件が多いです。

蓄熱体(コンクリート)の外で熱をシャットしようという考え方です。

 

断熱改修では天井断熱、又は

屋根(スラブ下)断熱で対応します。

 

単純に考えると屋根断熱が良さそうですが、

屋根スラブは過酷な環境にさらされていることや、

乾燥収縮や不陸があります。

 

ボード形状の断熱材は、同時打ち込みでなければ

精度の高い施工は難しいと思われます。

(既に一体打ちで断熱されている物件は多い)

 

よって、天井断熱が合理的な断熱改修になります

 

【角部屋 or 南や西に住戸が無い】

日射は壁面にも当たりますが、屋上ほどシビアではありません。

 

太陽の角度が高いので、受照面積があまり大きくないです。

太陽高度が下がる東西面は暑くなりますが、時間は短く

日が当たる面が時間で変わります。

 

また、マンションは高さがあるので風を受けやすいです。

流速が大きいと熱伝達係数が大きくなるので、蓄熱しても

夜間に熱が冷めやすい傾向があります。

 

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むしろ東西の窓から入る日射熱の方が強烈で、

通常は壁断熱より先に窓から対策します。

(南側は大体庇があるので、影響が最小限で済む)

 

外付ブラインドはつけられないので、

内窓をLow-E複層の日射遮蔽型ガラスにしたり、

ハニカムサーモスクリーンなどの対策が必要です。

 

窓枠が交換なら、サッシ枠の熱橋対策もしておきたいです。

 

冬 断熱改修が必要な家

【最下階・最上階】

冬は最下階が寒く感じやすいです。

 

マンションの場合は、プライバシーの兼ね合いもあり

1階住戸は日が当たりにくくなっていることが多いです。

 

 

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空気は太陽熱で直に暖められることはなく、

地表で温められた熱によります。

 

冬は日影にいると、とても寒く感じます。

しかし日に当たれば基本的に物質は暖かくなります。

 

この場合は外皮の断熱性能を上げるしかないのですが

最上階と違って上には住戸がありますので、夏は涼しい

という嬉しいメリットもあります

しかも専用庭があれば雪は一人占めできるという・・・

 

ところで

「マンションって冬はそんなに寒くないよね」

 

と感じるのは、日射熱の恩恵を受けやすいからです。

 

一戸建てと比べて高さがあるので、

隣の建物の日影になっていなければ、

素直に日射を受けることができます

 

冬の日射は30°近くなので、壁や窓に対して

大変いい角度で日差しが入ってきます。

 

日差しが部屋に入ってくると、実に心地よく温まります

 

プライバシーの兼ね合いから、上階に行くほどブラインドや

カーテンを開けることに抵抗がなくなるのもポイントです。

 

ということは最上階の日当たりはバッチリです。

しかし、外気(壁や屋根の裏側は外)に

接している面が多いので太陽が出ていないと寒くなりやすいです。

 

晴れの日は良いですが、曇りの日が続くと

日射はあまり期待できません

部屋から逃げる熱の方が勝ってしまいます。

 

この場合は、まず外皮性能をしっかり上げます

 

窓の位置と大きさは変えられませんが、内窓を

日射取得と日射遮蔽に意識して計画すると

自然エネルギーを上手に利用することができます

 

【角部屋 or 隣に住戸が無い面がある】

角部屋、隣に住戸がないということは、

外皮面積が大きくなるということです。

熱が逃げやすくなります

 

しかし隣に住戸があれば、熱的に有利に働きます

( 外皮計算も住戸のある界壁は温度差係数 ×0.15 。外皮は ×1.0 )

 

また、熱橋対策は必須です。

断熱改修してもここを押さえないと意味が無いです。

 

簡単に言うと、コンクリート構造の天井と壁、

壁と壁、壁と床、壁とサッシの取り合い部分です。

 

良く表面結露で黒カビが生えているのを見ます。

そこが熱欠損しているために、露点温度まで下がって結露します

計算するとかなりの熱が逃げていることが分かります

 

【住戸が南北に長く、南の日当たりがあまりない】

特に北側は大体が廊下に面していて、日が当たりません

冬は表面結露を起こしてカビが生えていることが多いです。

 

結露からのカビ発生は、アレルギー症状がある方や

身体の不調の時に大きく影響します。

人からも水蒸気は発生するので、滞在すれば湿度は上がります。

 

湿度が上がると露点温度が上がっていくので

継続して住戸で活動していれば、だんだん結露しやすくなってきます

 

つまり外皮性能アップの他に、湿度と、熱橋対策を考えます。

 

結果、温熱環境に的を絞った高コスパな物件とは

以下はコスパの高い順です

 

・上下左右に住戸がある

 

・住戸の形がシンプル(長方形)

 

・LDが南向き(日射を遮る建物がなければなお良い)

or 南東、南西の少しでも南に向いている

 

・南向きの窓が大きい + 東西北の窓が最小限

 

・コンクリートに断熱されていて、熱橋部分も断熱してある

マンション管理組合や管理会社で持っている竣工図で分かります。

内観からは住戸の角部に床から天井までで、

幅1m、厚み3~5cmの出っ張りを見つけたら

熱橋対策がとりあえずされている可能性があります。

 

あとは好みの条件とどう折り合いをつけるかです。

気に入った物件があれば、住戸ごとに弱点を

断熱改修で補ってあげれば良いのです。

 

・眺望がとても良い!(富士山が見える、自然が豊か、花火大会が見える)

・やっぱり角部屋が好き!

・マンションだけど専用庭が欲しい!

・住戸から入口や駐車場が近い方がいい!

 

が気に入ったのなら、上記の優先順位も織り交ぜて

検討して頂ければと思います!

 

好条件の住戸は、断熱改修をしなくても快適に過ごせることもあります。

 

この次の冬はぜひぜひ快適にお過ごしください。

 

 

設計事業部 岡本

 

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