2022/02/21
飛び込みの業者さんには注意
屋根の上は目視では確認できない為、突然お家へお伺いし「
近くで工事を行っていて気になった」や「
お家の屋根がズレています」「
屋根の釘が抜けています」など親切心を装い、無駄に不安を煽る業者さんが増えています。
今回、瓦屋根の釘浮き補修のご依頼いただいたお客様も、飛び込みの業者さんに「
〇〇さんのお家を工事していて気になったので、無料で点検します」と声をかけられました。
確かに〇〇さんは工事をしており、不安になったお客様はその業者さんに屋根の上へ上って確認してもらったそうです。
確認後「
棟の瓦が抜けている」と言われてそのまま補修をお願いしましたが、後日お客様が〇〇さんのお家を工事している職人さんに声をかけたところ「
〇〇さんの家は屋根の工事はしてませんし、その業者さんも聞いたことがないので確認した方が良いですよ」と言われました。
お客様がその飛び込み業者さんに確認の電話を行ったところ、突然電話を切られそこから全く連絡が取れなくなってしまったそうです。
知らない業者さんを屋根の上に上らせてしまった不安から、状況を確認して欲しいと弊社へ相談がありました。
棟瓦の釘浮き
屋根に上らず、上に伸びるカメラで撮影した棟瓦(瓦屋根の頂上部)の写真です。
写真を見ると、棟瓦を抑えている釘が浮いているのが分かります。
釘は
引き抜きの力に弱い為、年数が経つとこの様に浮いてきますが、築30年ほどでここまで浮いているお家はあまり見ません。
棟瓦は、棟に降ってきた雨を受け流して雨漏りを防止する役割があり、それを留めている釘は、強風などで棟瓦が飛ばされるのを防いでいます。
瓦屋根に使用されている釘の種類
鉄釘
溝がない鉄製の釘で、そのままハンマーなどで打ち込むことで結合します。
築年数が古い瓦屋根でよく施工されています。
鉄釘は錆びによって膨張し、既存の釘穴よりも大きくなっていきます。
膨張した鉄釘に耐えきれなくなった瓦にヒビが入り、補修が必要になります。
亜鉛メッキ釘
鉄よりも錆びやすい亜鉛メッキを施した鉄釘です。
亜鉛が先に腐食しすることで、中の鉄釘を守る役割があります。
錆びる鉄釘の代わりとして亜鉛メッキ釘が使用されるようになりましたが、本質として亜鉛メッキ釘は錆びる為、使用されなくなりました。
ステンレススクリュー釘
ステンレスの為、錆びづらいのが特徴です。
釘とは一般に溝がない物を指しますが、スクリュー釘は溝があるものを指し、ネジやビスとも呼ばれています。
現在では瓦屋根標準設計・施工ガイドラインに基づいて
「ステンレス釘」が基本となっています。
新築・増築の瓦屋根の法改正
瓦屋根の施工ガイドラインは昭和31年から同じ基準でしたが、
2022年1月1日以降の建築物から、新たなガイドラインが設けられました。
軒、けらば、棟と呼ばれる箇所を銅線、鉄線又はくぎ等で緊結していましたが今後は「
粘土瓦」と「
セメント瓦」は指定の方法で全て緊結が必要となります。
新ガイドに合わせた補修
今回は新築ではない為ネジ(ビス・スクリュー釘)での補強は義務ではありませんが、釘がきいていない状態だった為、現在の溝のない釘を抜いて溝のあるネジに交換しました。
こんな感じで手作業で1本ずつ釘を抜いていきます。
釘を抜いたら、ネジを打っていきます。
全体的に瓦のズレも確認し、2人がかりで半日で終了しました。
職人さんに「
お客様に安心して頂くために、補修の写真が欲しい」とお願いしたところ、快く撮ってくださいました。
飛び込みの業者さんが来た際は、先ずは自宅を建てられた会社さんや、いつも依頼している業者さんに確認してもらいましょう。
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