【防音・騒音対策】~音の種類が違うと効果がない?~
2023/07/15
防音したい音の種類を知ろう
防音とは、「
吸音材」「
遮音材」「
防振材」「
制振材」を組み合わせて、響く音を抑えることです。
どんな音を防音したいかによって、使用する材料や方法が異なります。騒音の元となる音の強さは、
デシベル(単位:
dB)で表され、音源の数が n 倍になった時の音圧レベルの増加量は 10×log10(n)で求めることができます。
難しい式ですが、例えばカエル1匹の鳴き声の音圧レベルが50dBの時、 2匹の鳴き声は100dBではなく53dB、
3 匹の場合は 55 dB になります。つまり、
発生音を単純に増やしたり減らしたりしても、発生音をゼロにしない限りは大きな効果はありません。
1階でも安心できない子供の走る音
子供の足音は対策が難しい「
固体伝搬音」+「
重量床衝撃音」になります。集合住宅で小さなお子様がいる場合は1階が良いと聞きますが、「
固体伝搬音」は床や壁を伝わって
建物全体に伝わります。かつ「
重量床衝撃音」は、その伝わりが大きい傾向にある為、1階だからと言ってお子様を走らせていると、騒音トラブルの原因になるので注意が必要です。
空気伝搬音(くうきでんぱおん)
音の発生源から壁や窓などを直接透過して伝搬する音のことです。音は昼より夜、季節の中では夏より冬の方が音は遠くに届く性質があります。空気伝搬音の防音対策は、「
吸音材」+「
遮音材」を組み合わせて行われます。
空気伝搬音に対する遮音等級は「
D値」で表され、
値が大きいほど遮音性能が高いです。
空気伝搬音の例
■人の話し声
■子供の泣き声や女性の話し声など高い音
■ペットの鳴き声
■室外からの騒音
固体伝搬音(こたいでんぱおん)
建物に力や衝撃が与えられた時に、その振動が建物内を伝搬し空気中に放射される音のことです。固体伝搬音の防音対策は、一般的に防振ゴムなどの「
防振材」による振動緩和などが行われます。固体伝搬音は建物の構造的な問題が多く、空気伝搬音に比べ対処が難しい為
100%の防音は難しいのが現状です。
固体伝搬音の例
■歩行音
■ドアの開閉音
■物が落ちた時の音
■スピーカーからの重低音
■男性などの低い声の話し声
■冷蔵庫や洗濯などの稼働音
■液体伝搬音
軽量床衝撃音「LL値」
スプーンやおもちゃなどの軽いものを床に落としたときに響く床の衝撃音を指します。集合住宅の
防音フローリングの性能を表す「LL値」の元になっており、
値が小さいほど遮音性能が高いです。
※現在は、ΔL(デルタエル)等級で表します。
重量床衝撃音「LH値」
重い物による床の衝撃音を指します。子どもが走ったり飛び跳ねたりした時に下の階に伝わる音で、
値が小さいほど遮音性能が高いです。
音が伝搬していく仕組み
音とは、空間に空気とは異質の物がある時、それによって音の伝わり方が変化します。
1 枚の硬い板に音が入射した場合を考えます。
音は、音の力が微弱な為にほとんどの音のエネルギーは「
反射」されます。一方、音の作用によって板自身も微かに振動します。この振動が入射面と反対側の面の空気に圧力変化を生じることで、音が「
透過」します。
この
「透過」した音が騒音トラブルの原因になります。
発した音が壁や床などに直接当たる「入射音」と、壁や床などに当たった「透過音」の音圧レベル差を「
透過損失」と呼び、
「透過損失」が大きいほど防音性が高いことになります。
透過損失を大きくするには?
音の作用を受けにくいコンクリート壁のような重い材料ほど、また、周波数が増すほど大きくなります。材料の厚さや周波数が 2 倍になれば、透過損失は 5~6 dB 増加します。
似ているけど違う「吸音」
吸音は、壁などから
反射する音を対象としています。吸音材として有名な、ウレタンフォームなどの多孔質材料の中を音が伝搬した場合、音のエネルギーは熱エネルギーに変換され、その分だけ音のエネルギーは減少します。
入射音が熱エネルギーに変換される比率を「吸音率」で表します。
似ているけど違う「遮音」
遮音は、壁などを
透過する音を対象としています。重い材料ほど遮音性が高く遮音等級「
D値」と「
L値」で表します。
※参照:総務省
-第 2 回 音響の基礎:音の発生と伝搬-
主な防音材は4種類
■吸音材:グラスウール・ロックウール・ウレタンスポンジ・EMセルロースファイバーなど
※
EMセルロースファイバーの詳細はこちら
■遮音材:比重の高い鉛( 毒性がある為、被覆の必要あり)などの遮音シート・樹脂・ゴムなど
■防振材:天然ゴム・シリコーン・ウレタンなど
■制振材:アスファルトを主原料としたシート状の粘弾性樹脂
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