卯建(うだつ)
日本家屋の屋根に取り付けられる小柱、防火壁、装飾。
平安時代は「梲(うだち)」といったが、室町時代以降「うだつ」と訛り、卯建・宇立などの字が当てられた。
本来は建物の棟を支えるため、梁(うつばり)の上に立てる小さい柱のこと。のちに、切妻屋根の隣家との間についた小さい防火壁で1階屋根と2階屋根の間に張り出すように設けられているものも「うだつ」と呼ぶようになった。
本来、町屋が隣り合い連続して建てられている場合に隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られたものだが、江戸時代中期頃になると装飾的な意味に重きが置かれるようになり、自己の財力を誇示する為の手段として、上方を中心とした商家の屋根上には競って立派なうだつが上げられた。
うだつを上げるためにはそれなりの出費が必要だったことから、これが上がっている家は比較的裕福な家に限られていた。
「生活や地位が向上しない」「状態が今ひとつ良くない」「見栄えがしない」という意味の慣用句「うだつが上がらない」の語源のひとつと考えられている。