これからの住まいは、リノベーション!
デザインも性能もこだわりたい。
最近、二世帯住宅へのリノベーションの関心が高まってきています。
これは、2013年の税制改正により、2015年1月1日から相続税の大幅な増税が決まったためです。これまで他人事として考えていた方も課税対象となる可能性が高くなり、その節税対策として、二世帯住宅へのリノベーションが注目されるようになりました。
そこで、ここでは、相続税の主な改正内容から、二世帯住宅へリノベーションすることへのメリットなどを紹介していきます。是非、二世帯住宅の検討の際の参考にして下さい。ただし、相続税のことだけにとらわれて、無理に二世帯住宅にすると親世帯と子世帯で新たなトラブルも発生してしまう可能性もあるため、円満な二世帯生活が送れるよう慎重に検討することが必要です。
将来の相続税の負担を軽減するためには、どう住むかを考えることはとても大切なことかと思います。ここでは、2015年1月1日からどのように相続税が変わるのかということと、相続税対策の観点から、二世帯住宅へのリノベーションが有効であることについて紹介していきます。
2015年1月1日より相続税の税制が改正され、以下のように、基礎控除額が大幅に引き下げられます。
【改正前(2014年12月31日まで)】 5000万円+(1000万円×法定相続人の数)
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【改正後(2015年1月1日から)】 3000万円+(600万円×法定相続人の数)
そのため、例えば、相続人として妻と子供が2人いた場合、改正前であれば、8000万円(=5000万+(1000万円×3人))まで相続税はかかりませんでしたが、改正後は4800万円(=3000万円+(600万円×3人))を超えると課税対象となってしまいます。
この基礎控除が4割も引き下げられる影響により、相続税の課税対象者が大幅に増える見込みです。
住宅の相続の際、土地の評価額を最大80%減らすことができる「小規模宅地等の特例」があり、例えば、土地の評価額が1億円であれば2000万円まで減額できるなど、この特例を利用することで、大幅な節税効果を得ることができます。相続税の基礎控除が引き下げられることを緩和するために、この特例が拡充され、主に、以下の2点が変更されます。
(1)構造上区分のある二世帯住宅の要件の緩和
【改正前(2014年12月31日まで)】 親世帯が居住している部分に対応する土地のみ適応
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【改正後(2015年1月1日から)】 子世帯が居住している部分も含めて適応
なお、構造上区分があるとは、内部で行き来ができないことを意味します。
(2)住宅用の土地の限度面積の拡大
【改正前(2014年12月31日まで)】 限度面積240㎡
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【改正後(2015年1月1日から)】 限度面積330㎡
この変更により、相続を見据え、実家の近くに家を建てようと考えていた子世帯が、親世帯とのプライバシーを確保できるのであれば、思い切って大規模工事を行って実家を二世帯住宅にリノベーションしようと考えたり、土地の限度面積が100坪程度増えるため、これまで適用できずにいたが、土地の限度面積の条件を満たすようになったので、二世帯住宅にリノベーションしようと考えたりする方が増えてきています。
これは、特例の適用の見込みが高まったためであり、親世帯の住宅が近くにあり、かつ、新たな住まいについて検討している方にとっては、二世帯住宅へリノベーションすることは、相続税対策ともなり、有効であると考えます。
二世帯住宅とは親世帯と子世帯が同じ建物で世帯を分けて住むことができる住宅のことをいい、それぞれのライフスタイルによって、いくつかの種類があります。ここでは、二世帯住宅の主な種類とメリットについてまとめていますので、確認しましょう。
二世帯住宅は、主に、「共用タイプ」「部分共用タイプ」「完全分離タイプ」の3つのタイプがあります。
<共用タイプ>
親世帯と子世帯で、玄関、キッチン、浴室、トイレなどを共有するタイプです。親世帯と子世帯がひとつの大家族として暮らすことができる住まいであり、世帯間のコミュニケーションを重視したいという方にオススメです。
<部分共用タイプ>
親世帯と子世帯で、玄関と浴室のみ共有、キッチンとリビングのみ共有など部分的に共有するタイプで、二世帯住宅の中では最も一般的なタイプになります。共用タイプと完全分離タイプの中間のタイプで、コミュニケーションもプライベートも重視したいという方にオススメです。
<完全分離タイプ>
玄関、キッチン、浴室、トイレなどをそれぞれ別に設け、各世帯が独立しているタイプです。ストレスが少なく、世帯ごとのプライベートな暮らしを重視したいという方にオススメです。
二世帯住宅のメリットとしては、主に、「安心感」「経済的」の2つが挙げられます。
まず、安心感を得られることです。
二世帯住宅にすると、子世帯は近くで高齢の両親を見守ることができますし、親世帯は、頼れる身内がそばにいて、かわいい孫にいつでも会うことができるため、精神的に落ち着きます。
さらに、近くにいることで、互いに助け合うことができることも魅力です。親が病気やケガなどになったときにはすぐに対処することができますし、子世帯が共働きなど働いているなら、仕事で出ている間、家事や育児の手伝いを親にお願いすることができます。
あと、相続税対策だけではなく、他にも、いくつか経済的なメリットがあります。
まず、子世帯で住まいを別に建てるよりも、土地代などがかからないため、二世帯住宅へリノベーションするほうが全体の費用をおさえることができますし、そのおさえることができた分をバリアフリー対応など充実させることに充てることもできます。
また、住み始めてからも、共用部分が多いほど、ガス、水道、光熱費などのランディングコストをおさえることができます。例えば、大型の冷蔵庫を一台にすれば、電気代を、浴室を共有すれば、浴槽に張るお湯の量も半分になるため、水道代をおさえることにつながります。他にも、たまにしか使わない物を新たに買わずに共有したり、まとめ買いしてシェアしたりする等、日常生活においても節約することができます。