中古マンションを購入してリノベーションしようと考えている方には、様々な悩みがあると思います。中古マンションとはいえ、リノベーションをするとなると内装や住宅設備機器なども全て入れ替えるので、一生モノの買い物になりますから当然のことです。大丈夫だろうか、失敗しないだろうか、という漠然とした不安が悩みの種かもしれません。不安の種を取り除くためには、中古マンションを購入する際やリノベーションする際のポイントを抑えておくことが重要です。失敗しない中古マンションリノベーションのポイントをご紹介します。
まずは自分の目で見て確認できるポイントをしっかり抑えましょう。
リノベーションは古い物件の内装や設備機器を全て新しくして部屋を新築同様の見た目と使い勝手に変えられることが最大のメリットですが、注意しなければいけないのは「パッとは目に見えない部分」についてです。物件を購入する前にしっかりとチェックしておくべきポイントを、4つご紹介します。
まずはじめにチェックしておきたいのが、物件の現状です。 見た目は新しくなっても、水廻りの配管が古いままだったり、壁紙の下にカビが発生していたりということが稀にあります。
そうなると水漏れを起こしたり、折角張り替えた新しい壁紙にもカビが浮いてきてしまったりとトラブルの元になってしまいます。最近では、物件を購入する前に住宅診断を行うインスペクション調査をされる方も増えています。
購入前に住宅診断の結果を確認しておくことで、耐震性など構造面も含めて物件の不具合も確認できるので安心です。
部屋自体はもちろんのこと、自分の部屋以外の環境についても注意しなければなりません。
マンションの共有部分がしっかりと管理されているのかどうかは、長い間そのマンションに住み続けるためには重要なことです。
マンションの共用廊下の天井や壁にひびやひどい汚れがないかどうか、コンクリートの欠け落ちや古い部分の補修が行われているかなど確認する必要があります。また、エントランスやゴミ捨て場などが清潔に保たれているか確認しましょう。
マンションの場合、共有部分の大規模な修繕は10年~15年周期で行われるのが一般的であり、その修繕のために毎月修繕積立金が徴収されています。その積立金が安い場合、修繕のタイミングで一時金として数万~数十万払わなければならなくなったというケースも少なくありません。修繕の計画がしっかりと立てられているのか管理組合に確認しましょう。
マンションの周辺施設などの環境はなかなか変えられるものではないので、事前にしっかりとチェックしておく必要があります。
郵便局や銀行、スーパーなど普段からよく利用しそうな施設、万が一の時に近くにあると安心な病院などがどのぐらいの距離にあるのか、マンションの周りを歩いてみて確認するとよいでしょう。
さらに、マンションの周辺の治安や夜遅くまで営業している飲食店があるか、騒音など影響のありそうな施設は近くにないかなど、実際に住んでみてから気になりそうなことも事前に調べておくといいでしょう。
車をよく利用する場合は、駐車場の車の出し入れのしやすさはもちろんのこと、マンション前の道路の交通量はどうなのか、渋滞の多い道路が近くにあるのかなど、事前に把握しておくことで、実際に住んでみてから、思ったよりも車での移動が大変だったなんてことはなくなるでしょう。
子育て世代の方の場合は、保育施設や教育施設までの距離、徒歩圏内に公園はあるのか、近所に同年代の子供はいるのかなど、子供を育てるなかであったほうがいいなと思う施設や環境については、事前に調べておくと安心です。
ずっと住む部屋ですから、周囲の環境との相性も内覧の際に確認しましょう。
多くの方が住んでいるマンションだからこそ、避けては通れないのが住民同士のトラブルです。
住民同士のトラブル回避のために、事前にどのような方たちが住んでいるのか少しでも知っておく必要があります。そんな時に役に立つのが、エントランスなどに設置されている掲示板です。
掲示板に貼られている張り紙から、騒音やゴミ出し、共用部分についての注意書きから、どんなトラブルが起きやすそうなのか想像することができます。
また、張り紙の中にクレームが来ていますなどの実際にトラブルが起きている場合は要注意です。
目で見るだけでなく、書面から得られる情報もあります。口頭では説明がなかったけれど書面にはしっかり記載してあった…などのケースはトラブルに陥りやすく、多くの場合、書面を確認していなかった買主側の責任となります。そういったトラブルを回避するためにも、以下の書面にはしっかりと目を通し、少しでも疑問に思うところがあれば1つずつ確認をすることが重要です。
マンションは完成してから年々価値が下がっていき、地域にもよりますが約10~15年で価値は約半分程度までに下がります。それ以降は価格の低下が緩やかになり、築20年以上になると下落がほとんど止まります。つまり、マンションの価値は築20年以降それほど変わらないということです。
築40年以上の建物となると、耐久性に不安が出てくるため、購入のタイミングとしては今後資産価値の目減りの小さい築20年前後の物件がおすすめです。
築年数が何年なのかしっかりと把握し、大規模な修繕がいつ行われるのか事前に確認しておきましょう。
リノベーション済みの物件の場合、もともとの物件の価格にリノベーションの工事費用が上乗せされている場合が多くみられます。
リノベーションする際に、内装を一度全て取り払うほどの大きな工事を行う場合、内装が綺麗な状態である必要はありません。
一部のみリノベーションをしたいのか、大きい規模のフルリノベーションをしたいのかによって購入する際の物件の状態も異なりますので、事前にどれぐらいの規模と費用のリノベーションをしたいのか決めておきましょう。
1981年に建築基準法が改正され、建築物を震度6~7程度の大規模地震でも倒壊は免れる強さにしなければならないと新たな基準が設けられました。
そのため、新たな耐震基準に沿って建てられた建物の方が、新たな基準が設けられる前に建てられた建物より安全であるということになります。
しかし、新たな基準が設けられる前に建てられた築40年を超えるマンションの中にも、高い耐震構造レベルを確保し、都度耐震改修や耐震補強を行っているものはあります。
では、マンションの耐震性はどうやって見極めればいいのでしょうか。
それは、修繕履歴や修繕計画表を確認することです。10年~15年周期で行われる大規模修繕の際に、耐震補強なども行われているか確認することで、耐震に関してしっかりと対策しているマンションなのかが確認できます。
マンションの建物構造には、2つのタイプがあります。
間取りを変更してのリノベーションを行いたい場合、ラーメン構造のマンションの方が適しています。
自分の希望通りの間取りが可能な物件なのか、購入の前に確認しておきましょう。
中古マンションを個人の売主から購入するか、不動産会社などの事業主から購入するかで、消費税の課税対象かどうかが変わってきます。
個人から購入する場合と個人が不動産会社に仲介してもらっている場合、消費税はかかりません。
一方で、最近増えている傾向のある不動産会社が物件を買い取り、販売している場合は、消費税がかかります。
中古マンションは大きな買い物であるため、消費税があるかないかで費用も大きく変わってきます。事前に消費税がかかる場合なのかどうかを確認しておきましょう。
さらに、大きい規模のリノベーションを行う場合、工事期間も長くなります。工事を行っている期間は他に住むところが必要となるため、二重で費用がかかります。
その期間にかかる費用のことまで考えた上で、予算内におさまっているのか確認しましょう。
これは住宅に付随する設備と、その物件の状態について、売主と買主が書面で明確にしておくためのものです。
付帯設備とは、中古住宅の取引(売買)に含まれる設備と含まれない設備の事を指します。あらかじめ書面で明らかにすることで、照明やカーテンレール、下駄箱など買主が「当然売買に含まれているだろう」と思っていたものが実はそうではなかった、という事態を避けることができます。
物件状況確認書とは、文字通り売買時の物件の状況や状態を記した書面のことです。物件状況確認書には、その建物の状態について、売主が知っていることを記載します。雨漏りがあるならば、それを書面で売主が買主へ告知するのです。今までに雨漏りしたことがあるか、あるならばその補修をしたか、等についての告知です。書面で明確にすることで、契約や引渡し後に揉めるリスクが非常に低くなります。物件状況確認書で告知された内容については、買主は売主に瑕疵担保責任を問うことができません。しっかり内容に目を通し、何が告知されているか把握しておきましょう。
次に、よくあるリノベーションの失敗例を紹介いたします。
様々なケースがありますが、今回はその中でもよく聞かれるケースである「予算が足りなかった」ケースと、「リノベーションができない物件だった」ケースについてです。
多くの場合、中古マンションを購入してリノベーションをすると決めた時には「予算の上限額」が決まっているパターンがほとんどでしょう。
ですが、リノベーションにかかる予算などは実際に物件を購入してからでないと必要な設備もわからないし、なかなかイメージがつきにくく、予算感を見誤りがちです。
さらに、リノベーションの予算について考慮せず物件を購入してしまった場合には、いざリノベーションという段階になって予算が足りず、中途半端なリノベーションになってしまうこともあります。
物件を契約する前にリフォーム会社・リノベーション会社の専門スタッフに相談し、自分たちが実現したい空間をつくるにはどの程度のリノベーション費用がかかるのかを確認すると良いでしょう。
いい物件を見つけた!誰かに購入されてしまう前に、さっさと購入してからリノベーションをしよう!…と思っていたのに、リノベーションができない物件だったというケースです。
一戸建ての場合には「資材が搬入できない場所」や「再建築不可物件」などのケースがあり、ネット上にも多数の情報が上がっています。
一方で、中古マンションの場合には関係がないように思えます。ところが、中古マンションであってもリノベーションができない物件というのは存在します。例えばそのマンションが分譲マンションだった場合、規約で「フローリングへの工事は不可」「電気容量が上げられない」「ユニットバスしか認められていない」などの制限がつくことがあります。
また、購入したマンションの1室であっても共用部分を個人で勝手に工事することはできません。一般的に共用部分については管理規約に記載されていますが、例えば玄関、サッシ、窓ガラスなどは共用部分ですのでリノベーションができません。
事前に管理規約などの書類を確認し、リノベーションが可能かどうか、可能である場合はどこまで大丈夫なのかということを把握しておきましょう。
住宅ローンとは、住宅の購入や新築、改築するために住宅や土地を担保として金融機関からお金を借り入れすることを指します。
不動産投資用の事業ローンは金利2~4%なのに対して、住宅ローンは1%以下と低金利の借り入れが可能です。また、最長で35年間という長い返済期間で借り入れができるのも住宅ローンの大きな特徴です。
住宅ローンは中古マンションをリノベーションの際にも使用することができますが、注意が必要なケースがあります。というのも、中古マンションの場合、建物の耐久性の問題などから、住宅ローンが満額下りない、返済期間が短くなる可能性があるのです。
また、中古マンションの購入と同時にリノベーションを行う場合は、リノベーションの費用も合わせて住宅ローンとして借り入れが可能ですが、中古マンションを購入し、数年後にリノベーションする場合は、リノベーション費用を住宅ローンで借り入れすることは難しいとお考えください。
リノベーションした後に、住宅ローンが借り入れできないとなれば、金利の高いリノベーションローンで借り入れするしかなくなります。
事前に、住宅ローンを満額借り入れられるのか、返済期間はどのぐらいになるのか調べるようにしましょう。
失敗しない中古マンションリノベーションのポイントについて簡単にご紹介しました。
目で見て確認できる箇所、書面に記載してある事項は必ずしっかりと確認をして、把握しておきましょう。
トラブルを回避するために疑問に思ったことは全て業者や売主に確認すること、万が一トラブルになってしまっても慌てずに手元の書面を確認して解決の糸口を探ることを忘れずに、希望のリノベーションを実現させましょう。
一部既存部分を活かして、リノベーション。無垢フローリング材が明るいリビングを演出しています。
リフォーム金額:1100万円
マンション築年数:15年
リゾートホテルのような空間に、リノベーション。
リビングの天井を網代や植物の繊維を使った壁紙で存在感を出し、天然石やタイルをふんだんに使用した重厚感あふれる空間に仕上げました。
リフォーム金額:1250万円
マンション築年数:12年
モダンで落ち着きある雰囲気に、リノベーション。
床をウォルナットし、壁をホワイトの珪藻土に仕上げるなど、随所にこだわりが見える空間です。
リフォーム金額:800万円
マンション築年数:16年
将来にわたって安全に住み続けられるように、リノベーション。
セルロースファイバーを使用し、健康にこだわりました。
リフォーム金額:630万円
マンション築年数:30年