A7:地震に弱いイメージがありますが、軽くて強い木材の特性は地震に柔軟に対応して高い耐久性を発揮します。
木造住宅は地震に弱いというイメージがありますが、決して弱くはありません。日本各地に建てられた木造の神社・仏閣が数百年を経ても残存している事実がそのことを物語っています。
地震の振動エネルギーは建物の重力に比例するため、重い建物ほど大きく揺れます。木材は鉄やコンクリートに比べて軽いので、同じ大きさの建物では木造の揺れが一番少ないのです。
しかも、木材は曲げの力にも強いのです。同じ重さでの材料の強さを比較すると、圧縮に対する強さは鉄の約2倍、コンクリートの約9.5倍、引っ張りに対しての強さは鉄の約4倍、コンクリートの225倍もあります。鉄やコンクリートは、ある一定以上の曲げの力が加わると突然破壊しますが、木材は少々の曲げの力が加わっても耐久性があり、また同じ状態に復元する力があります。地震などの大きな力を受けたときも、ある程度変形しながら力を逃すという性能があるのです。
もう一つは、意外にも火災に強いことです。木材は、表面が炭化すると内部まで燃焼しない性質があり、一定以上の断面を持つ太材は火災に耐えることができます。鉄やアルミニウムは加熱すると3~5分で強度が著しく低下しますが、木材は15分経っても約60%の強度を維持します。
したがって、このような軽くて強い木材の特性を生かし、耐震性能を十分に考慮して設計・施工した木造住宅であれば、"地震にも強い住宅"といえるのです。
また、木材はコンクリートと違い、呼吸(調湿機能)をしています。夏の多湿時には湿気を吸い、冬の乾燥時には湿気を吐き出します。木は人が快適に過ごせるように、湿度の調節をしているのです。さらに、木は熱を伝えにくい性質があります。本の主成分であるセルロースやリグニンという有機化合物が不良伝導体であるうえに、細胞と細胞の間に蓄えられた空気が断熱効果をもたらします。
出所:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合著、書籍「地震でも安心な家」より